私(岡)は化学企業の研究職、妻の実家のデザイン会社の後継、そのデザイン会社の新規事業を経て創立したシステム開発会社の経営と、割とめずらしい職務経験をして参りました。それぞれ何の脈絡もない分野のようですが、私にとっては良い経験となりました。
その中でも特に印象深いのは、システム開発(ソフトウエア開発、アプリ開発)における基本プラットフォームの「サービス終了」という落とし穴でした。
ここでのサービス終了とは、例えば、システム開発言語などのアップデートがこれ以上行われないということです。
システムというのは、一度完成させてもユーザーの使用環境(PC、OSなど)やセキュリティなどの関係で少なくとも半年に1回くらいはアップデートを行う必要が出てきます。OSがアップデートしたりPCが進化したりすると、それに合わせてアプリのほうもアップデートしなければいけないということですね。利用環境ごとに必要ですので、通常、Windows、Mac、Android、iOSのように、OSごとに対応するということになります。
しかし、開発言語などのプラットフォーム的なものがサービスが終了してしまった場合には、それは開発環境自体がなくなるということでもうアップデートすらできないので、すぐにではなくとも早晩そのシステムは使えなくなってしまいます。通常このような場合は、別の環境でシステムを再構築するという対応をしなければなりませんが、それは大変なことです。
たとえサービス終了にはならなくても、この分野は流行り廃りが激しく寿命が短いものです。このように、システム分野というのはとても厳しい分野だということを痛いほど教えられました。同時に、これまでの努力で構築したものがいとも簡単に崩れ去ってしまう虚無感を強く感じずにはいられませんでした。このようなことはシステム分野だけではないかもしれませんが、特にシステム分野はその傾向が顕著です。
一方、自然科学の分野はどうでしょう?プラットフォームである自然界の法則は100年たっても基本的には不変です。ある日突然万有引力がサービス終了し飛行機が飛べなくなるなんてことはありません。当社の事業分野である「化学」や「材料」も同じで、100年前の知識やルールが今も変わらず使えます。
現在、私が化学企業時代に大変お世話になった上司や、大学を退官された先生に専門的なご指導を頂いています。年齢的には70才、80才、90才の大御所の方々なのですが、頭脳の切れ味は並々ならぬものがあり、道を究めた姿はまるでスターウォーズのヨーダを彷彿とさせられます。これはやはり知識と経験を積み重ねられる自然科学分野ならではの事だと思います。
私自身、50代も半ばを過ぎ、第二の人生を生きる世代となりました。自分がその年齢だからということもあるかもしれませんが、今後、当社の事業発展の中で、高齢者の方の能力をお借りすることにも是非目を向けていきたいと考えています。
若い人、高齢の人でそれぞれの強みが違います。それぞれの強みを生かした会社組織・運営が出来れば、それが理想だなと感じています。